UCバークレー物理学教授(米国エネルギー省顧問)である氏によるバークレー校特別講義をベースにした標記の本が話題を呼んでいる。
2014年7月第1刷 樂工社
新聞で紹介記事をよみ、デパートに入っている三省堂に買いに行ったがなく、取り寄せになるという。
面倒なので図書館にないか行ってみたが、ここもなく、ただ「購入希望を出してみたらどうか」と言われ人生初めて出してみた。忘れていたら、入ったとのご連絡。
お役人もずいぶん親切になったものだ。以下、某図書館最初の購読者として良い子の感想文を。
専門的な物理の話は後ろの方に少しだけで、ほとんどは一般の人にも理解できるような平易な記述となっている。
内容は1部エネルギー災害(1章は福島原発事故)から始まり、第2部エネルギー景観、3部代替エネルギー、4部エネルギーとは何か、5部未来の指導者へのアドバイスと続くエネルギーに関する全般的・網羅的なものだ。
一般人、大学生、高校生にも有用。私が高校・大学の教師だったら借りるのでなく買って損はしないと勧めるだろう。
基本的な立場だが「楽観主義的バイアスと懐疑主義的バイアスに要注意」と述べていることからも理解できるが一口で言えば「リアルな思考」をする人だ。
感傷主義、悲観主義、バスに乗り遅れるな主義の日本的な硬直・マゾ思考とはずいぶん違う。
わかりやすい電気自動車に限って彼の考えを見てみよう。次のように言っている。
電気自動車に傾倒している人たちほど、熱狂的で、楽観的なそして狂信的な人たちはいない。
広く普及するためには三つの基本的問題が解決されなければならない。
①エネルギー密度
②コスト
③再充電時間
そして、完全電気自動車が取り組むべきこととして次のように具体的に問題点を挙げる。
・同じ重量当たりエネルギーはガソリンの25分の1であること
・同じ距離を走るのにかかるコストは電気料金とバッテリーの交換費用を含めるとガソリ
ンの5~8倍かかる。
・貯蔵タンクは10倍の体積が必要となる(同じ航続走行距離にするなら)。
・再充電時間は分単位でない
・バッテリーの初期投資コストは数万ドルである。
ところが、ハイブリッドカーについては絶賛なのだ。ご自身プリウスに乗っている模様。
ハイブリッド車には本当の価値と確かな未来がある。私の予想ではあと10年か20年すればアメリカのほぼすべての自動車はハイブリッドになっているでしょう。
一 時的なブームにすぎないと言っているのはテラスロードスターや日産リーフやシボレーボルト、そのほか完全電気式モードで動くプラグイン・ハイブリッド車のことです。
トヨタが泣いて喜びそうなお話だ。世界のトップ学者が世界の指導者に向けてそういっている ということはいい意味で重い。
日本人は太陽電池に関して世界でトップクラスと思っているようだが、教授の太陽電池に関する章に出てくるのは中国とアメリカの話しばかり。日本のことは出てこない。
やたらに日本名が出てくる日本の自動車工業のレベルの高さに誇りを持ち、より大切にしてよいと思う。
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